差し出された器には、何やら見覚えのある料理が盛られている。一つまみいただくと、口の中にごま油とにんにくの香りが広がる。もやしのシャキシャキとした食感もまた良い。毎日のように晩酌する酒好き記者(26)はすぐにビールを飲みたい衝動に駆られた。
「ラーメンチェーン店『一風堂』で出されるもやしを再現したものです。料理チャンネルのデビュー作です。とにかくビールに合うんですよ~」
記者をとりこにするつまみを提供してくれたのは、YouTubeの動画チャンネル「おっくんの宅飲みグルメ」でチャンネル登録者数20万人を超える人気YouTuberのおっくん(29)だ。「宅飲みにおける、ツマミとビールの最強の組み合わせを見つける」をテーマにアップする料理動画が、酒好きの男性を中心に人気を集め、累計動画再生数は6億回を超える。
そんなおっくんは吉本興業に所属していた元芸人。当時のエピソードや、YouTubeを始めるきっかけなどを聞いた。
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――もともとは携帯電話大手の企業で勤務し、その後に芸人になったそうですね。
大学卒業後に芸人になるつもりでしたが、「せっかくいい大学を出たんだから、一般企業に就職しなさい」と両親から猛反対されました。説得されて、40社くらい受けたなかで唯一内定をいただいた企業に入社し、福岡で営業をしていました。
しかし、働きながらも「お笑いをやりたい」という気持ちは変わりませんでした。月に1回、週末にピンでお笑いのステージに立っていました。フリップ芸で、書かれたことに自分がツッコむスタイルでしたが、いつもスベっていました(笑)。
会社は、各自の営業成績をグラフ化して公開するような数字至上主義。飛び込み営業は当たり前で、ノルマも厳しかった。仕事が辛くて、「お笑いに転職するようなものだ」と14年8月に会社を辞め、翌年4月に吉本興業の芸人養成所「NSC」に入学しました。親からは「あんたのために(学費で)いくら使ったと思っているのよ」と泣かれました(笑)。