日本政府の財政状況は、悪化の一途をたどっている。政府の借金(公債発行残高)は、2020年3月末に897兆円になる見通しだ。7年前の安倍政権発足直後から約200兆円も増えている。安倍首相が、財政再建よりも、公共事業や国民へのばらまきを優先してきた結果だ。
「安倍1強」と言われる状況のなか、政府の借金の増加を食い止めようという政治勢力は、与野党を通じてほとんどいなくなった。政治的には「反安倍」であるれいわ新選組は、経済政策で安倍首相に極めて近い。旧民主党の系譜を受け継ぐ立憲民主党や国民民主党の中にも、れいわ新選組に歩調を合わせて、消費減税を求めるグループが勢いを増している。
右も左も究極まで突き進むと、ぐるっと回って同じ境地に行きつく。日本の政界は、経済政策においては、右も左もなくなり、与野党が「反緊縮」一色になった。政府が返済のことを考えることなく、際限なく借金し続ける。そんな国に、どんな未来が待っているのだろうか。(朝日新聞記者・鯨岡仁)