政治は右、経済は左で歴代最長総理になったが… (c)朝日新聞社
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安倍晋三首相と、れいわ新選組の山本太郎代表は、よく似ている」

 もし、こんなことを書いたら、「アタマがおかしい」と思われるかもしれない。

 安倍首相は、「保守政治家」を自任している。人によっては「右翼」と呼ぶ人もいる。首相に返り咲いてからの7年間、集団的自衛権の行使を一部容認する憲法解釈の変更や、いわゆる共謀罪の創設を含む改正組織的犯罪処罰法の成立などを、次々と実現した。憲法改正を「在任中に成し遂げたい」と強い意欲を示している。

 一方、山本代表は、「左翼」だと思われている。昨年4月にれいわ新選組を結党。3カ月後の昨年7月の参院選では、重度身体障害者、性的少数者などのマイノリティーなどを候補者に擁立した。圧倒的な庶民目線のメッセージが国民の支持を集め、一気に2議席を得て、国政政党の代表になった。

 2人は、お互いに、真逆の立場にいると思っているはずだ。国会でも、激しく対立している。

 だが、経済政策は似ていると言わざるを得ない。そんな「事実」を、アベノミクスのルーツをたどりながら、明らかにしたのが、拙書『安倍晋三と社会主義 アベノミクスは日本に何をもたらしたか』(朝日新書)だ。

 そのキーワードは「反緊縮」である。

 安倍首相は7年前に始めたアベノミクスは、「3本の矢」という政策で成り立っている。1本目の矢は「異次元の金融緩和」、2本目の矢は「機動的な財政出動」、3本目の矢は「民間投資を喚起する成長戦略」の3つだ。

 1本目の矢「異次元の金融緩和」で、日本銀行は、国の借金である国債を年80兆円分、買い支えている。これは、毎年、政府が新たに発行する国債の約2倍だ。政府はこの「金融緩和」によって得たお金を、「国土強靱化」のための公共事業など、2本目の矢「機動的な財政出動」につぎ込んでいる。

 この結果、円安が進んだ。日本経済の牽引役である輸出産業の交易条件が改善し、利益を大幅に増やした。外国人にとって、日本は「安い」旅行先となり、たくさん訪れるようになった。バブル期並みの雇用環境を生み出し、景気回復は戦後最長を記録している。

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