オナイウ阿道選手(c)朝日新聞社
オナイウ阿道選手(c)朝日新聞社
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 いよいよ今年もJリーグのシーズンが到来。J1は2月21日からスタートし、各々の目標に向かってひた走る長丁場の戦いが続く。昨シーズンは横浜FMが15年ぶりのリーグ制覇を果たしたが、オフには新たなシーズンに向けて各チームが動き、勢力図も変化した。そこで今回はJ1全クラブのオフシーズンの選手補強を査定(良い方からA・B・C・D・Eの五段階)し、3日間にわけて紹介する。

■川崎 C

 左右ウイングが攻撃の幅をとる4ー3ー3にトライしている川崎は中盤に求められる役割も大きく変わった。補強自体はフィールド選手では最終ラインのマルチロールである山根視来(←湘南)、左右のサイドバックをこなすジオゴ・マテウス(←コリチーバ)が加入したほかはFW旗手怜央(←順天堂大)など4人の大卒ルーキーに即戦力として期待がかかる。

 一見して派手さに欠けるがACLの負担がない今シーズン、新しいスタイルを植え付ける意味では効率的なチーム編成とも言える。期待したいのがFWレアンドロ・ダミアン、DFジェジエウというJリーグ屈指の個人能力を持つ外国人選手の開幕戦からの活躍だ。

 さらに脇坂泰斗、守田英正、田中碧といった年齢的に若手から中堅に差し掛かる選手たちが本当の意味で一本立ちできるかどうかも注目ポイント。大卒ルーキーは旗手をはじめアカデミー出身の三笘薫(←筑波大)、神谷凱士(←東海学園大)、イサカゼイン(←桐蔭横浜大)と早期の活躍が期待されるが、筆者が特に注目するのが関東大学アシスト王のイサカゼインだ。

■横浜FM B

 まず評価したいのが動きの早さ。リーグ優勝が決まって数日のうちには大方の補強が発表され、年内にほぼ全て完了してしまった。それだけ監督やスタッフが戦力を見極める時間が取れ、キャンプの準備もしやすくなる。この時点でアドバンテージは大きい。もともとビッグネームを狙う強化方針ではなく、実用性では限りなくAに近いBだ。

 主力の顔ぶれは大きく変わらないものの、二連覇がかかるリーグ戦とACLを並行して戦える主力、準主力クラスをFW、MF、DF、GKの各ポジションに加えた。ACLは外国人枠が3人+アジア枠1人であるためGK朴一圭とFWエジガル・ジュニオが登録リストに入らなかったが、日本代表に選ばれたことのあるFWオナイウ阿道(←大分)、GK梶川裕嗣(←徳島)がそれぞれ存在感あるプレーを見せた。

 さらに対人能力の高いセンターバックの山本義道(←金沢)、右サイドバックの前貴之(←山口)、攻撃的MFの仙頭啓矢(←京都)、杉本竜士(←徳島)という昨シーズンのJ2で活躍した新戦力が過密日程の中でいかに起用され、アンジェ・ポステコグルー監督の期待に応えられるか。

 ACLの初戦で韓国王者である全北現代とのアウェー戦に勝利し、グループリーグ突破へ弾みを付けただけに、ポテンシャルの高い新戦力に早い段階でチャンスを与えながら、過密日程がさらに厳しくなる後半戦に向けて主力とサブの戦術理解の差を埋めておきたい。

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昇格組の横浜FCは?