子供がLGBTQだとカミングアウトしたり、分かった時、親の成熟度が試されます。大人な親は、子供が大切だからこそ、LGBTQ関係の本を読みまくったり、当事者に会ってみたり、映画・演劇などを見たりして、なんとか理解しようとします。
孫の問題や世間体や親戚の言葉や、いろんな悩みや不安にさらされながらも、自分の子供を懸命に理解しようとします。
大人になれない未熟な親は、ただ自分の意見を押しつけ、子供が間違っていると主張し、「正常」と思われる道に進むことが子供のためなんだと主張し続けます。
10年間、オードリーさんの母親は何をしていたのだろうかと、僕は思います。
オードリーさん。残酷な言い方ですが、母親が変わることは、かなり難しいのじゃないかと思います。
母親は優しくて、とても良い人だけど、子供なんだ、と腹をくくって、あきらめるしかないかもしれません。
オードリーさん。でも、父親は違いますよね。それが、希望だと僕は思います。
オードリーさんと同じ悩みを抱えていて、両親から拒否されている人は、日本では少なくないでしょう。
でも、オードリーさんの父親は、オードリーさんをなんとか理解してくれようとしているのです。
それはとても素敵なことです。
ひとつ、母親が変わる可能性があるとしたら、父親が母親に「LGBTQをテーマにした映画や小説、演劇」を勧めてみる、という方法です。オードリーさんのアイデアだとは言わないで、ですよ。
僕の知り合いが御両親を『ベター・ハーフ』に連れてきたように。
いきなりレズビアンをテーマにした映画は反発が強いかもしれません。『ブロークバック・マウンテン』『トーチソング・トリロジー』などのゲイであることの差別や無理解をテーマにした名作映画や、『ボーイズ・ドント・クライ』『ミルク』などの実話を元にした映画を見れば、少しは母親は現実を理解しようと思うかもしれません。何が本当に子供のためなのか、考え始めるかもしれません。