今年のJ1リーグは優勝争い、そして残留争いが最終節までもつれ込む混戦となった。その中で旋風を巻き起こしたのがFC東京。首都クラブとして毎年のように優勝の期待に応えられていなかったが、今年は最後まで優勝の可能性を持ち続け、リーグをけん引する存在だった。
惜しくも最終節、横浜Fマリノスに敗れて優勝は逃したが、来季以降に大きな期待を持たせた。そのチームの試合があれば毎回のように駆けつけ、チームカラーの『青赤』で埋まったスタンドで熱い声援を送っている異色のファンがいる。
廣山あみ。
元アイドルの現役シンガーであり、FC東京ファン。ホームのみならずアウェーにも足を運び、サポーター1年生ながらほぼ全試合観戦。見る場所はいつもゴール裏、大声で選手を鼓舞し続ける。番組や企業主導の“タイアップ”サポーターではない。数多くいる“ガチ”なサポーターの一人だ。
サポーターになったきっかけは、アイドル時代に参加した一つのイベントだった。「選手は誰も参加していないイベントに多くのFC東京ファン・サポーターが集まっていました。その人たちは私たちのことなんか知らない、曲なんか知るわけもない。それなのに大声で盛り上げてくれました。サッカーってなんなのって、興味が湧いたんです」。
そこから少しずつFC東京に惹かれるようになっていった。
その後、アイドルグループを脱退し、子どもの頃からの夢だったシンガーになる道を選ぶことになるが、その際にFC東京の影響も少なからずあったという。
「最後まで諦めない気持ちがより強くなりました。今まで、なにかを応援したり、熱中したりしたことがなくて、出る側の事ばかり考えていました。でも、応援する側の気持ちがわかり、自分の為じゃなく誰かの為に何かしたいと思うようにもなりました」
気がつけば、FC東京の試合に足繁く通う熱烈サポーターになってしまい、今では、いつも懸命にサポートしているチームの応援に自ら作った曲も使用されている。