歌広場:表現の一形態としてキャラクターを演じたり、歌やラップを披露する機会もありつつ、浅沼晋太郎さんとしてステージに上がる機会も増えてきたわけじゃないですか。そういう時にはどんなスタンスで臨むんですか?
浅沼:トークイベントとかならある程度は自分自身の素に近い状態なんですけど、それでもお客さんに見られているんだと考えると、完全なる素の状態ではないですよね。
歌広場:僕が浅沼さんを凄いなと思うのは、イケメン声優として注目されてきたはずなのに、それだけじゃ終わらないところですね。かっこいい人は自分自身でいることである程度の表現ができてしまっているから、「はい俺を見て。以上!」みたいなところがあると思うんですよ。でも浅沼さんは自分自身以外の何かの表現方法を常に追求している感じが素晴らしいなと。
浅沼:僕は、完全なる素の状態の自分自身にまったく自信がないんです。だから作品の力だったり、キャラクターの力を借りて、どこかで「これは自分じゃないよ」と思い込むことで目の前のハードルを越えられる、みたいなところがありますね。
歌広場:浅沼晋太郎という男に注目が集まっている昨今の状況をどういう風に受け止めているんですか?
浅沼:僕があと20歳若かったら、受け止め方もちょっと違ったかもと思うんですよね。43にもなると、戸惑いや恐縮のほうが強くて(笑)。
歌広場:「やっと俺の時代が来たぜ!」という風には思わないですか?
浅沼:まったく思いません。誤解を恐れずに言うならば、いい意味でも悪い意味でも調子に乗れないんですよ。
歌広場:僕なんて紅白に出た時には調子に乗りまくりましたけどね。楽器も弾いてないのに、乗れるだけ調子に乗りましたよ(笑)
浅沼:いや、そりゃあ紅白は大きいと思いますよ。僕も地方出身なので、NHKの番組の影響力の大きさはひしひしと感じますから。前にNHKのアニメに出演した時に、親から、よく知らない親戚の分までのサイン色紙が送られてきて。「いやいや、もうちょっと前からまあまあアニメ出てたよ?」と思うんですけど、田舎では放送されていなかったりしたもんですから。