42歳での電撃結婚。そして伝説の高齢出産から2年。母として、女優として、ますますパワーアップした水野美紀さんの連載「子育て女優の繁忙記『続・余力ゼロで生きてます』」。今回は、この連載をまとめた書籍『余力ゼロで生きてます。』の発売記念トークイベントについてお届けする。
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先日、出版イベントなるものが催され、この度書籍化されたエッセイ『余力ゼロで生きてます。』をお買い上げ頂いた200名程のお客様の前で、編集担当のKさんとトークをしてきた。
当日はあいにくの雨で、足元も悪く冷え込む中、小さなお子さん連れの方々もたくさんいらして下さった。
トーク時間が1時間半も設けられていたので、正直かなりプレッシャー。
かたや、稽古中であった芝居では、1時間半お客様を楽しませるために、ストーリーを練り稽古を重ね音楽や照明を駆使して披露するというのに、こちらは蛍光灯の下、無音でただのトークの1時間半。
無謀としか言いようがない。
担当のKさんなんて、数日前から瞳孔が開き気味なのである。
当日は11月22日。「良い夫婦の日」ということで、夫の写真を大きなパネルにして横に置きたいのですが、と打診を頂いた。
その日、夫は舞台の本番中で登壇は叶わなかったからである。
なので、私は等身大の夫の全身写真が用意されるのを想像していたのだが、全然違った。
A4サイズの、四角い顔写真だった。
どう工夫して持ったとしても、遺影感滲むそのパネル。
トーク中には壇上に飾られた花の前に置かれたものだから、余計に滲んじゃってんじゃないか!
トークが始まってすぐに赤ちゃんが泣き出し、ベビーカーを押して会場の外に出ようとしたママに、
「全然気にしないでください、外に出なくて大丈夫ですよ」
と私はお願いした。
シーンとしただだっ広い会議室のような無機質な空間。
花の前に飾られた夫の写真。
余計な緊張感しか生まないその状況を、赤ちゃんの声が打破してくれた気がしたのだ。