中央大・五十幡亮汰(C)朝日新聞社
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 学生野球の集大成ともいえる明治神宮大会・大学の部は、慶応大が19年ぶり4度目の優勝を果たした。そんな今大会で目立った来年のドラフト候補になりそうな、大学3年生の選手についてレポートする。

【写真】明治神宮野球大会(高校の部)には、こんな逸材が!

 まず投手では木澤尚文(慶応大)が高いポテンシャルを見せた。準決勝の城西国際大戦に先発すると、今大会で登板した投手の中で最速となる151キロをマークし、5回を投げて3安打1失点、7奪三振という快投を見せたのだ。

 182cm、78kgというプロフィールよりもマウンド上で大きく見え、真上から投げ下ろすボールの角度も申し分ない。110キロ台のカーブで緩急をつけられ、130キロ台後半のスライダーも打者の手元で鋭く変化する。少し上半身の力が強いフォームで体重が後ろに残り気味なのは課題だが、そこまで致命的な欠点には見えない。これまで故障が多く、リーグ戦での実績は少ないだけに、あとはシーズンを通してしっかり投げられるかがポイントとなりそうだ。

 サウスポーでは山野太一(東北福祉大)が候補となる。172cmと上背はないものの、しっかりと軸足に体重を乗せてからステップし、下半身主導で投げられるフォームが長所。サウスポーらしいボールの角度があり、最速147キロをマークした。課題は変化球の精度。カーブ、スライダーとも高めに抜けるボールが多く、東海大戦は2回を投げて4四死球を与えて4失点と試合を作ることができなかった。少しだけであるが、ステップする前に体をひねる動きがあるのが気になった。リーグ戦での実績は十分だが、この冬でもうワンランク上を目指してもらいたい。

 野手では牧秀悟(中央大・二塁手)が筆頭候補になる。初戦の対東海大戦で敗れたがレフトオーバーのツーベースを放って存在感を示した。年々体つきがたくましくなり、それと比例するようにバッティングも力強さがアップしている。バットを立てて大きく構え、慎重にステップしてしっかりとボールを呼び込むことができる。リストの強さもあるが、それに頼り過ぎずに全身を使ってスイングでき、長打力も申し分ない。セカンドの守備でもセンターに抜けようかという打球を見事なフットワークで処理し、苦しい体勢から鋭い送球でアウトにしてみせた。希少な強打のセカンドということでプロからの需要も高いだろう。

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需要の高い遊撃手にも見るべき選手が