3人ともキム・ヨナに影響されてスケートをはじめていることから、韓国では彼女たちを“ヨナ・キッズ三銃士”とも呼ぶが、ジュニアに目を転じると“ヨナ・キッズ”はまだまだいる。
ジュニアGP第1戦で銀メダルのウィ・ソヨン、第2戦で銀メダルのパク・ヨンジョン、第3戦、第6戦で金メダルのイ・へインなど、今年夏のジュニア・グランプリで韓国人メダル・リレーを演じた2005年生まれの“ヨナ・キッズ”たちまで登場しているのだ。
かつて“フィギュア不毛の地”とさえ言われた韓国で次々と逸材たちが頭角を現す背景には、韓国国内の環境の変化もあるだろう。キム・ヨナがまだ世界にその名を轟かす前、韓国ではソウルにもフィギュアの練習ができるスケート場がほとんどなく、キム・ヨナもショートトラックやアイスホッケーと共同で使われていた泰陵(テルン)選手村スケートリンクで練習していたことは有名な話だ。
しかし、キム・ヨナが韓国にもたらした“フィギュア・ブーム”で全国各地にアイスリンクが造られ、今では全国に30か所以上のリンクができた。日本に比べればまだまだ少ないが、環境の変化が新たな才能を生み出す下地になった。
まさに彼女たちは文字通り“ヨナ・キッズ”であり、キム・ヨナが韓国にもたらした“フィギュア革命”を現在は彼女たちが “第二のルネサンス”として継承しようとしているわけだ。
そんな“ヨナ・キッズ”たちが紀平梨花ら日本選手たちのライバルになる日も来るかもしれない。韓国ではシニアで経験を積んだ“ヨナ・キッズ”たちが2022年北京冬季五輪で大輪の花を咲かせるのではないかと、今から期待を膨らませている。
かつての浅田真央とキム・ヨナのような日韓女子フィギュア・ライバル対決に名乗りを上げる“ヨナ・キッズ”は誰か。韓国女子フィギュアに今から注目しておくのも一興かもしれない。(文・慎武宏)