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「南極や北極などの極地へ向かう探検隊は、一つの判断の間違いが死に直結しかねないという意味で、究極のチームと言っていいと思います。軍隊も死と隣り合わせという意味では同様ですが、探検隊のリーダーからは、いわゆる『軍隊式』ではないリーダーシップのあり方を学ぶことができます」
そう指摘するのは元グーグルのアジア・パシフィック人材開発部門ヘッドで、経営コンサルタントのピョートル・フェリクス・グジバチさん(未来創造企業 プロノイア・グループ株式会社代表取締役)だ。ロングセラー『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』(朝日新聞出版)の著者でもあるピョートルさんと、ヨーロッパで著名な探検家のマレック・カミンスキさん、また、10万人規模の音楽フェスを手掛けるディレクターでもある元俳優の小橋賢児さんの3人に理想のチームについて語ってもらった。
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■探検隊とビジネスチームの共通点
ピョートル:マレックさんは、南極や北極には何度も行かれているだけでなく、社員100名規模の会社も経営していますね。探検隊とビジネスチームに共通点はありますか?
マレック:冒険のプロジェクトでは、短時間で、前例がない現実をつくっていかなくてはなりません。ルールも自分たちで作りだす必要がありますね。
小橋:僕も、そのことに興味があります。僕は8歳から27歳まで俳優をやっていて、そのあと、30歳直前に肝臓を壊して死の淵をさまようような人生のどん底を経験したのですが、その後10万人規模の音楽フェスのディレクターをしたりと、さまざまなイベントのプロデュースをするようになりました。そのため、いろいろなチームに関わる機会がけっこうあります。
その一方で、自分で経営している会社の中のチームづくりについては、悩むことが多いんです。何かのプロジェクトでは、それが終わったらみんな解散するし、目標とする期日に何が起きるかがわかりやすい。でも、会社は何年続くかわからないし、いつ成功と言えるかもわからない。