マレック:探検隊のチームづくりでは、まず、こういう役割があるから、こういう人を雇うということはしません。重視するのは、強い不確実性を乗り越えられる人かどうか。プロジェクトの特徴によってルールが変わりますから、自分たちでゴールや原則、ルール、進め方、マイルストーンを構築していける人を集めます。そのような感じですから、冒険のプロジェクトでは、自分たちでルールをつくって、それを破ることもできますが、企業だとそうはいかない。いずれにせよ、採用がとても重要になりますね。

■チームメンバーの採用で重視すること

ピョートル:ビジネスの採用に関して、マレックさんが気をつけていることはありますか? 僕は『世界最高のチーム』の中で、「うちの会社はこういう会社だから、こういう人しか雇わないという採用の仕方(カルチャー・フィット/Culture fit)」の代わりに、「何か新しい文化を会社に加えてくれる人材を募る採用の仕方(カルチャー・アド/Culture add)」を提案しています。

マレック:ビジネスで重視するのは、責任を持って仕事に臨んでくれる人かどうか。ただ、採用プロセスでわかることには限りがありますので、責任を与える前に、しばらく一緒に働いてみて判断しています。ただ、責任と意思決定の権限を一度与えたら、あれこれ干渉しすぎないことが大事です。選択肢は2つしかなく、自分でしっかりリードするか、しっかりリードができる人(責任と権限を持っている人)をプロジェクトに置くかのどちらかです。今、ヨーロッパだと、失敗するのをみんな避けていて、自分のプロジェクトがうまくいかないと、すぐ転職しちゃいます。

小橋:日本も同じかもしれませんね。僕も、イベントに向けた準備をやっていると、ゴールの直前は真っ暗というか、トラブルが続くことも多くて、「本当にできるんだろうか」と、つらくて、苦しいんです。でも本当は、「一寸先は光」かもしれない。もしかしたら、失敗があるからこそ、新しいところにたどり着けるかもしれない。それなのに、そこに行く前にやめてしまう人たちがいっぱいいて、僕もそこが結構もったいないなと思っていました。

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