阪神:藤川球児 (c)朝日新聞社
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 投手分業制が確立された令和の時代、絶対的守護神の存在はチームの成績に直結するものとなっている。そして、リリーフの存在感が高まったのが平成の時代だった。DH制がないセ・リーグでは、投手が代打起用で降板するケースが多いため、パ・リーグと比較して歴史的な絶対的守護神の数が多いようだ。

巨人:マーク・クルーン

 毎年のようにFA戦線に参戦するなど、目まぐるしく変わる布陣の反動か、巨人では抑え投手も短いスパンで入れ替わり、3年以上守護神を務めた選手はほとんど見当たらない。各年の抑えを見ると、上原浩治や岡島秀樹といったのちのメジャーリーガーや、槙原寛己や澤村拓一という先発でも活躍した投手など、豪華な名前が並ぶが、いずれも1年か2年でその役割を終えている。

 そんな中、強烈なインパクトを残した守護神が、08年から3年間クローザーを任されたマーク・クルーンだ。横浜での3年間で84セーブを記録した後、巨人に移籍して1年目から41セーブをマーク。自身初となる最多セーブのタイトルを獲得し、チームをリーグ連覇に導いた。09年は故障もあり、登板数は減ったが、防御率1点台で27セーブをあげて2年連続胴上げ投手となり、リーグ3連覇と7年ぶりとなる日本一に貢献した。

 話題になったのが球速で、移籍1年目には当時NPB最速となる162キロを計測した。豪速球と鋭いフォークで相手打者を圧倒したが、短気な性格で制球力にも不安があり、安定感を欠く内容は「クルーン劇場」と揶揄する声もあった。

■DeNA(横浜):佐々木主浩

横浜の絶対的な守護神と言えばこの人、佐々木主浩に異論を唱える人はいないだろう。NPBでは横浜ひと筋、12年間で歴代3位の252セーブ、MLBでは4年間所属したシアトル・マリナーズで129セーブを記録した“ハマの大魔神”だ。

 ルーキーイヤーは遠藤一彦が抑えを務めていたチームで、先発として7試合に起用された。2年目の途中から抑えに抜擢されて17セーブをマーク。その後は150キロを超える速球と落差の大きいフォークを武器に、4年連続リーグ最多セーブなど、絶対的存在として最優秀救援投手5回、リーグMVP1回と不動の守護神となった。

 圧巻だったのがプロ9年目の98年。51試合登板で1勝45セーブ、敗戦投手となったのは一度だけだった。被本塁打は1本のみで自責点は4、防御率は0.64で、8回までにリードを奪えば、横浜の勝利は確定と言われた。この年の45セーブは135試合制では歴代最多で、6月には通算セーブポイント、8月には通算セーブ数の日本記録を更新。17試合連続セーブ、22試合連続セーブポイントなど日本記録ラッシュで、チーム38年ぶりとなるリーグ優勝、日本一の立役者となった。

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