

日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「生理用品の課税」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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10月1日より、消費税増税に伴い消費税率が8%から10%へと引き上げられました。日本において消費税が導入されたのは、1989年の4月からでした。当時の消費税率は3%。ですので、30年をかけて二桁まで上げられたということになります。
日本で消費税と呼ばれている税は、海外では付加価値税と呼ばれるものにあたります。生産し流通する段階で生み出される価値に対して広く課税する仕組みであり、生み出される付加価値に税金を払っているのです。一方、消費することに対して税を支払うのが消費税です。考え方は違うものの、実態としては消費税と付加価値税は同じなのです。
ちなみに、付加価値税の始まりはフランスです。フランスの財務官僚であったモーリス・ローレが考案し、1954年にフランスで初めて導入されました。
世界で付加価値税を導入している国は、2018年4月時点で152カ国あります。しかしながら、国ごとに課税品目や軽減税率、そして制度自体も大きく異なっています。
さて、今回の消費税増税において軽減税率が初めて導入されました。生活必需品である飲食料品と新聞は負担軽減のため軽減税率の対象とする、つまりこれらに対する消費税は8%に据え置かれることになったのです。一方で、その場で食べる飲食物や酒、定期購読以外の新聞や電子版の新聞は、軽減税率の対象外であることはご存じのことと思います。
とはいえ、「なぜ新聞が軽減税率の対象となるのだろうか」「これだけが生活必需品ではない」と思った方は大勢いらっしゃるのではないでしょうか。トイレットペーパーや紙おむつ、洗剤や台所用品など、生活には欠かせない生活必需品が他にもたくさんあるにも関わらず、軽減税率の対象外であることに疑問を感じずにはいられません。特に、生理用品であるナプキンやタンポンが軽減税率の対象外であることに、私は一人の女性として憤りを覚えました。