その高津新監督に求められているもの。それはズバリ、投手陣の立て直しである。

「僕を(新監督に)指名していただいたのは、投手を再建する、または新しくつくり直すということを大きな目的として声をかけていただいたんだと思ってます。そこを立て直すことがチームを立て直す第一歩だと思ってますし、私と一軍のピッチングコーチ2人と、二軍のピッチングコーチ2人、計5名でなんとかこのスワローズの投手陣を再建、もう一度新しく素晴らしい投手陣をつくっていきたいっていう気持ちを、すごく強く持ってます」

 今シーズンは球団ワースト記録を35年ぶりに更新するチーム防御率4.78にあえいだ投手陣を再建するのは容易なことではないだろうが、伊東昭光編成部長が「FAやトレードなど、なるべく(補強は)やるつもりです。監督には戦ってもらえるような戦力をお渡ししたい」と話すなど、球団側も3年契約で就任した新監督をバックアップする構えだ。

「入団した時の監督が野村監督で、野球の難しさ、奥深さを学びました。その後に若松監督であったり、古田(敦也)監督であったり、そこでプレーに対する責任であったり重大さ、1球の重さっていうのを学びました。そしてアメリカに行って(ホワイトソックスの)オジー・ギーエン(監督)に本当に野球の楽しさ、素晴らしさ、チームというファミリーの大事さっていうのを学んで来たつもりです。たくさんの監督さんの下でプレーをさせてもらったわけですから、自分の心にあるものをしっかり受け止めて、理想の監督となるかどうかはわからないですけど、選手がプレーに集中できる、やりやすい環境を整えてあげられる監督にはなりたいと思ってます」

 監督としての理想像をそう話す高津新監督。過去のヤクルトの優勝監督は内野手出身と捕手出身が各1名(広岡達朗監督と野村監督)、外野手出身が2名(若松監督、真中監督)で投手出身はいないが、3年のうちにその第1号になることができるか。まずはこのオフから来シーズンにかけて、課題の投手陣を含めどうチームを立て直していくかに注目したい。(文・菊田康彦)

●プロフィール
菊田康彦
1966年生まれ。静岡県出身。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身。2004~08年『スカパーMLBライブ』、16~17年『スポナビライブMLB』出演。プロ野球は10年からヤクルトの取材を続けている。

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