まだまだポテンシャルを秘めているレッドブル・ホンダ (c)朝日新聞社
この記事の写真をすべて見る

 フェラーリの好調は赤道直下のシンガポールでも続き、セバスチャン・ベッテルが2018年のベルギー・グランプリ(GP)以来となる53勝目を挙げた。下馬評では低速コースは不利と言われたが、なんとフェラーリのワンツーフィニッシュ。これに驚いたファンも多いことだろう。筆者もその一人である。

【写真】衝撃!“無免許”でF1デビューしていたドライバーはこちら

 ホンダ勢ではレッドブルのマックス・フェルスタッペンが滑りやすいマシンに苦しみながらも3位表彰台を獲得し、アレクサンダー・アルボンも堅実な走りで6位入賞。トロロッソのピエール・ガスリーはハードからミディアムにつなぐ賭けのタイヤ戦略に応えて8位入賞をもぎ取った。また、ダニール・クビアトはアクシデントに巻き込まれて入賞は逃したものの、キラリと光る速さを見せた。

 一方、メルセデスは前半戦の速さが影を潜め、個人ファステストラップはフェラーリ2台と遜色はないものの結果に結びつかなかった。ここ最近、急激にパワフルになったルノー勢もトップスピードは速いが3強には手が届かないところだ。

 シンガポールGPは終盤にセーフティーカーが3回入る荒れたレースだったが、あるデータが非常に興味深い傾向を示していた。

 ホンダ勢全車に言えるが、マシンの性能を引き出せなくとも、それなりの速さになるのだ。F1公式サイトに『Race Performance Ratings』というデータがある。簡単に言うと「どれだけマシン性能を頑張って引き出したかを10点満点で採点する」ものである。

 優勝したベッテルと2位のシャルル・ルクレールはともに6.2で全車中トップだ。対するフェルスタッペンとアルボンは4.3、ガスリーは3.3で、クビアトは後方からのプッシュの影響か、5.2となっている。メルセデスのルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスは4.5。つまりはフェラーリは性能を出し切ってのワンツーフィニッシュで、フェルスタッペンは性能を出しきれずに3位に入ったのだ。フェルスタッペンとアルボンの4.3というスコアは下から3番目で、ガスリー、マクラーレンのランド・ノリスの4.1に次ぐ数字だ。

次のページ セットアップが決まらないのに…