「昔から女子が出てくると会場は盛り上がる、でも、それはプロレスとしてではなく、ショーというか……。露出度高めの、スタイルの良い女性がマネージャー的立場で登場、試合に介入する、その流れで試合をやったこともあったけど、あくまで余興のような位置付けだった。団体会長のビンス・マクマホンも本気ではなかったと思う。彼はあくまでヘビー級重視で、軽いクラスを主要なラインには組み込まなかった。軽量のスターだったレイ・ミステリオJr.も重い選手と戦って勝ったりしたほど」
WWEをプロレスのみでなく、世界最高のビジネス団体にまで育てたマクマホン氏(WWE代表取締役会長兼最高経営責任者)。当時は女子どころか、軽量級レスラーもあまり重視していなかったという。
「良いことではないけど、女子はルックス重視という部分もあった。でも男子のレスラーからしっかり指導を受けるようになって、技術レベルが格段に上がった。もともと女子が出ると盛り上がるから、そこにクオリティが追いつけば商品として大きい。そういう部分での着眼点はさすがだと思う」
高レベルの男子レスラーから常に指導を受けられる。また団体所有トレーニングセンターでの徹底した下積み。実力とルックス、まさに『才色兼備』のプロレスで、人気が出るのは必然の成り行きだった。
「日本人のアドバンテージは映画などでもわかる通り、西洋人受けするルックス、そしてプロレス力の高さ。日本では道場などで練習をしっかりおこないプロレスのベース、基礎の部分ができている。これは短期間に習得できるものではない。加えて大事なのはやはり英語。試合後にショーを締めるのも、途中で繋ぐのでもマイクパフォーマンスは重要な要素で技術の1つ。試合だけできてもダメ。映像など見る限り、今、WWEでやっている日本人選手はそのあたりもしっかりやっている」
WWEの強みは選手育成の巧みさ、そして選手自身の志の高さだという。