日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は、自身も1児の母である森田麻里子医師が、「乳幼児への声かけと睡眠の関係」について「医見」します。
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赤ちゃんの寝かしつけでは、ママ・パパが子守唄を歌ったり、やさしく話しかけたりするのも定番です。しかし、時と場合によっては、ママやパパの声を聞くと逆に起きてしまったという経験をお持ちの方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
ママの声を聞かせると赤ちゃんの睡眠がどう変わるか、そんなテーマについて、新生児集中治療室(NICU)に入っている赤ちゃんを対象に調べたアメリカの研究がありましたので、ご紹介したいと思います。(※1)
NICUに入るというのはとても特別なことのように感じますが、実はそうでもありません。NICUに入る必要があるのは、日本の場合、生まれたときの体重が2500g未満だったり、早産だったりした場合、そして赤ちゃんの健康状態が良くない場合です。平成25年のデータでは2500g未満で生まれた赤ちゃんが9.6%ですから、少なくとも10%程度の赤ちゃんはNICUに入っていると考えられます。
この研究では、アメリカの病院でNICUに入っている47人の赤ちゃんに対し、赤ちゃんの脳波などを何時間にも渡って測定する検査を行いました。事前にママが絵本を朗読する音声を録音し、検査時間のうち半分はその音声を流しておくことで、赤ちゃんの睡眠・覚醒の状態とママの声の関係を調べています。
すると、ママの声を聞いている間では、赤ちゃんが起きている時間の割合は、生まれた週数が36週の場合で約10%、40週で約35%と、生まれた週数が高くなるにしたがって増えていることがわかりました。一方、ママの声を聞いていない時間では、生まれた週数にかかわらず起きている時間は10~20%程度でした。また、35週未満で生まれた赤ちゃんは、ママの声を聞いていても聞いていなくても、起きている時間に変化はありませんでした。