「自分自身がやるべきことへの意識が高いチームは勝てる」
――2人のチームリーダーが考えるヤクルト浮上のきっかけ。
大引と荒木、ヤクルトには2人のチームリーダー的存在がいる。
大引は法政大、オリックス、日本ハムと常にチームをまとめる存在。「法政史上最高の主将」と言われるほどのキャプテンシーを持つ。
荒木は小、中、高校、大学と常にキャプテンを務めてきた根っからのリーダー。大学日本代表主将の経験もある。
2人ともプロ野球選手としてレギュラーを狙いながらも、チームのことを常にに考えてきた。今のチーム状況に対する悔しさ、不甲斐なさは相当だったはず。
プロ入りするほどの実力ある選手の集合体だ。これまでの野球人生を振り返っても、ここまで負け続けた経験もないだろう。
大引はチームが勝つために必要なことを語ってくれた。
「例えば、高校野球では甲子園出場がすべて。だから個人成績なんて誰も気にしない。チームが勝つことだけを考える。でもプロはどうしても個人記録に走りがちになる。だって個人記録が良ければ給料が上がるわけだから…。それは当然のことで悪いことではないとも思う。ただ……」
「プロで勝つためには2通りある。絶対的な戦力で他チームをねじ伏せる。もしくは選手個々の勝手なプレーを少なくして、チームを1つにまとめる。うちは実力が抜けた選手もいるけど、それだけで勝てるチームではない」
自らの不甲斐なさを感じる荒木も、今後について前向きに語ってくれた。
「開幕直後は内外野のいろいろなポジションでスタメンも多かった。でもチームが勝てない時期に僕自身も結果が出せていない。自分のやるべきことができていないということ」
「自分のやるべきことを確実にこなす。それを一人一人がやっていくしかない。誰がどうこう、ではなく、個人個人がその気持ちを強くもつことじゃないですかね」
オールスターブレークの7月11日、ヤクルト球団創設50周年記念OB試合「スワローズドリームゲーム」がおこなわれた。平日ナイターのエキシビジョンにも関わらず、神宮球場は約2万8千人のファンで埋まった。