タイ代表監督に就任した西野監督は前向きな姿勢を見せたが… (写真提供:元川悦子)
タイ代表監督に就任した西野監督は前向きな姿勢を見せたが… (写真提供:元川悦子)
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「タイをワールドカップに導けるか? 導くようになりたいなと思います。どの国も大きな目標を持ってサッカー界を走ってるわけですから、私も力になりたいなと思います」

 タイ代表監督就任が決まった2018年ロシアワールドカップ16強指揮官の西野朗氏が19日、約100人の報道陣を前にして、内に秘めた野心をのぞかせた。

 サッカー人気の高いタイにとってワールドカップ出場は長年の悲願。17日の抽選で今回の2次予選はUAE、ベトナム、マレーシア、インドネシアと同組に入った。東南アジアの3カ国はタイにとって絶対に負けられない宿敵。西野監督も「9月5日のベトナム戦を皮切りに、予選の戦い方をしっかりとらえたい」と気を引き締めた。

 そのうえで、まず最終予選進出の2位以内を狙うが、2019年アジアカップの戦績を踏まえると、UAEとベトナムの牙城を崩すのは容易ではない。だからこそ、タイサッカー協会はJ1通算270勝という歴代監督最多勝利記録を持ち、日本代表でも実績を残した名将の招へいに踏み切ったのだ。会見に同席したソムヨット会長も「われわれは西野監督の業績を信じている。タイを成長させられると確信している」と語るなど、同国関係者内では大きな期待が寄せられている。

 実際、タイのポテンシャルは決して低くはない。2018年ロシアワールドカップ最終予選では結果こそ2連勝だったもののホーム&アウェー両方で日本を大いに苦しめているし、2018年Jリーグでベストイレブン入りした「タイのメッシ」ことFWチャナティップ(札幌)を筆頭に、今季J1で活躍中のDFティーラトン(横浜FM)、MFティティパン(大分)らタレントも何人かいる。2014年にチャナティップらと同じBECテロ・サーサナでプレーした岩政大樹も「彼らのスキルの高さは間違いない」と太鼓判を押していた。そこは西野監督も前向きに捉えているはず。日本屈指の名指揮官がいかにして「勝てる集団」を構築するのか。そこは非常に興味深い点だ。

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日本人指導者が東南アジアで苦労する現実…