──入寮者に対する脱走者の割合は。

 月に1件あるかないかぐらいです。他の自立支援施設と比べても、比率は高くないと思います。施設への出入りも自由です。

──携帯電話を持たせないのは、なぜですか。

 持っている子もいます。逃げ出した7人のうちの1人は、入寮時から携帯電話を持っていたはずです。原則、寮の中では規則で通信機器を持ち込まないことになっています。入寮者には、ゲーム依存の人もいて、親に対する暴言もあるので、生活環境を改善させるために必要だと私たちは考えています。

──生活改善プログラムに公文式を取り入れているのはなぜですか。

 プログラムは、いろんなものを取り入れている。公文式は一つのことに集中させる力などをつける目的でやっていましたが、現在はやっていません。

──月に支給される現金は日常生活の費用で3000円、小遣いが3000円程度とのことですが。

 人によるし、親の経済力にもよります。月に3万円もらっている子もいます。施設の中には、無料で受け入れている子もいます。その子たちにどの程度の現金を渡すかは、その子の状況によりますが、生活用品以外の額として5000円ぐらいを渡しています。

──入寮費が70万円程度、毎月の寮費が20万円程度かかるとのことですが。

 一般的な額だと思います。(ワンステップスクールの寮費は)平均だと毎月17万6000円ぐらいです。社会福祉士や医師などの専門職が多く、湘南校は特にスタッフの数が多いです。施設も冷暖房を完備しているので、固定コストが高く、公的資金も入っていないので、17万円を下回ると赤字になってしまいます。

──入寮のプロセスは。

 子育ては親だけではできないこともあります。また、親の成育環境が子どもに与える影響も多い。本人の問題だけではありません。また、親から相談されてすぐに寮に入ってもらうのではなく、親にもいろんなアプローチをしています。それでも自害や他害など緊急性の高い場合は、親と子の距離を持たせるために入寮してもらうこともあります。その時には必ず親から、私たちが行くことを言ってもらっています。だまし討ちで連れてきても、すぐに逃げてしまうからです。

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