一方で、暴力団対策の法律なんかができて、排除しようという目が社会的に厳しくなってきてから、一般の人と見分けがつかなくなってきているという問題もある。暴力団のフロント企業が一般社会の中に紛れてしまって、どう見極めるのかも難しくなっている。それを避けるためにも、直営業をやらないっていうのが一番良いんだけど、そこは会社の方針によるわけです。

 さっき説明した芸能の興業とかを各地で暴力団が仕切っていたという歴史もありましたが、それは昔のこと。ユーチューブとかで演歌歌手とか芸能人が何とか親分の誕生日に歌ったり、あいさつしたりという動画もいっぱいありますが、それだって法律ができる前の、持ちつ持たれつの関係だった時代のものです。

「芸能界とヤクザの関係が……」ってみんな面白がっているけど、そうはいかない社会事情になってきて、プロダクションに入っているような人たちがいまそれをやることは無いんですよね。勘違いされているのは悔しいし悲しいなと思います。

 ネットなんかではみんな熱くなっちゃってるから、僕が何か言うとまた「身内に甘い」とか「擁護だ」と言われるんでしょうね。でも結果的に行ってしまったのはダメなんだけど、どうしてこんなことが起こったのか、プロセスがどうだったかを各事務所が冷静に考えないといけないと思います。まず勘違いを解いてからじゃないと、そういう大事な話はできないですよね。

 あと、僕がツイッターで「出版社が反社会的勢力から写真とかデータを買っていたら問題」とつぶやいたら、すごく共感した人が多かったんです。もちろんジャーナリズムとしては情報源の秘匿というルールがあるってわかっているんだけど、こういう時代だからこそ特に反社会的勢力に関することなんかは、誰からどういう経緯で入手したのか、買ったとしたら誰にいくら払ったのかを世間に説明する必要があるんじゃないかとも思うんです。

 今回の報道でも「その筋に詳しい人」とか、なんだかキナ臭い人が出てコメントしたりしていますが、その人の素性は大丈夫かい?って、そっちも気になってしまう……。どうしてそんな裏の情報を知っているんだろう?とか。そこは本人のモラルを信じるしかないんだけど、そこがどうしてもそこがひっかかってしまいます。

[AERA最新号はこちら]