

感染症は微生物が起こす病気である。そして、ワインや日本酒などのアルコールは、微生物が発酵によって作り出す飲み物である。両者の共通項は、とても多いのだ。
感染症を専門とする医師であり、健康に関するプロであると同時に、日本ソムリエ協会認定のシニア・ワイン・エキスパートでもある岩田健太郎先生が「ワインと健康の関係」について解説したこの連載が本になりました!『ワインは毒か、薬か。』(朝日新聞出版)カバーは『もやしもん』で大人気の漫画家、石川雅之先生の書き下ろしで、4Pの漫画も収録しています。
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さあ、ここで唐突だがEBMの説明をする。はっきりいって、健康とか病気について理解したければ、EBMを避けて通ることは不可能なのだ。
EBMとはevidence based medicineの頭文字をとったものだ。「根拠に基づく医療」と直訳できる。が、これではなんのことだかよく分からない。EBMをぼくなりに一言で換言するならば、「ベストを尽くせ」ということだ。
ベストを尽くすとは、世の中にある医学上の研究、情報を最大活用して、われわれに役立つよう務めるという意味だ。
■現代の医者はベストな医療を知るツールを持つ
かつては最新の医学情報に即座にアクセスするのは簡単ではなかった。大きな医学図書館で紙カードのインデックスを検索し、長い時間をかけてほしい論文を探し出す。図書館にない論文は遠方に依頼をかけて取り寄せるという非常に面倒くさい作業をしていた。
しかし、インターネットの発達と医学情報データベースの進歩により、EBMの実践は実に簡単になった。これまでは手に入らなかった論文も容易に手に入る。なにがベストな医療かと知るツールをわれわれ現代の医者は持っている、というわけだ。
さて、では具体的にどのようにすれば患者にベストを尽くせるのか。そのためには、われわれに一番近接した、関連性の高い情報を活用することが大事だ。いったいどういうことか。「われわれに一番近接する」とはなにか。