学生運動についての評価はどうか。「運動に参加したことをどう思っていますか」の質問では、85%が「誇りに思う」と回答。68%が学生運動は「現在の人生の役に立っている」と評価した。一方で、当時、本当に革命が起こると信じていたのは約4割。運動をやめた理由には、仲間内で殺し合う「内ゲバ」や「就職」を挙げた人が多かった。

 全共闘世代は、学生時代に国家と闘った経験を持つと同時に、どこかに敗北感を抱きながら人生を過ごした人たちでもある。「伝え遺したいこと」の質問では、以下のような回答があった。

「就職後は基本、イエスマンでした。怒りは当時(学生運動時代)に置いてきたので、感情的にもならず、会社の部下や同僚から慌てたり怒った姿を見たことがないと言われた理由がそこにありました」

「都合37年間『ヒラ』で定年を迎えました。内ゲバで重度の障がい者となった元活動家と会ったことがありました。『贖罪』の気持ちから、一生『ヒラ』でいようと決意しました。(中略)かつての活動家の訃報を聞くたびに『贖罪』の気持ちが高まり、何か『宗教』への帰依を思う年齢となりました。<ただ犀(サイ)の角のごとく独り歩め 釈迦>」

「私の場合、幸運なことに大学中退やいくつかの逮捕歴にもかかわらず、それなりの収入を得る仕事に就くことができたが、仲間の幾人かは相当苦労する生活環境にあったと聞く。そのような環境を負わせた責任を感じていた時期もありました」

 最後に、学生運動が下火になった後も活動を続けた人たちの言葉を紹介しよう。現在も服役中の日本赤軍の最高指導者・重信房子氏は、「運動に参加したことが現在の人生の役に立っていますか」との問いに「世界各地の人と出会い、充実した生をいきてきた」、現在の課題については「出所し、社会参加すること」と答えている。

 同じく日本赤軍の元メンバーで服役中の和光晴生氏は、伝え遺したいことに、こう書いている。

「(全共闘運動は)学生運動である以上、期間限定付きのものでしかなかったわけです。卒業するやいなや、勤め人化したこととか否定的に見られる面はありますが、各人が社会生活の中でかつての想いを活かしていた例は多いはずです。連合赤軍の自壊、小グループによる爆弾闘争、党派間の内ゲバ、アラブでの『人質作戦』展開などが、大きな後退をもたらしてしまいましたが──」

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