感染症は微生物が起こす病気である。そして、ワインや日本酒などのアルコールは、微生物が発酵によって作り出す飲み物である。両者の共通項は、とても多いのだ。
感染症を専門とする医師であり、健康に関するプロであると同時に、日本ソムリエ協会認定のシニア・ワイン・エキスパートでもある岩田健太郎先生が「ワインと健康の関係」について解説したこの連載が本になりました!『ワインは毒か、薬か。』(朝日新聞出版)カバーは『もやしもん』で大人気の漫画家、石川雅之先生の書き下ろしで、4Pの漫画も収録しています。
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アルコールを飲むと酔っ払う。アタリマエのことだ。ではなぜ人は酒に酔うのだろう。
これは、神経細胞のγアミノ酪酸結合部位にエチルアルコールが結合し、神経細胞の機能を低下させたり、細胞膜への作用で細胞内への膜からのカルシウムイオンの取り込みが低下したりするからだと考えられている。
■門脈を通ったエチルアルコールは肝臓でアセトアルデヒドになる
摂取したアルコールは胃や小腸から吸収される。腸から肝臓に直接通っている血管があり、これを「門脈」という。
門脈を通ったエチルアルコールは肝臓でアルコール脱水素酵素により、アセトアルデヒドになる。これがアルデヒド脱水素酵素によって酢酸になり、筋肉などの中でTCAサイクルに入り、水と二酸化炭素にまで分解される。
また、ミクロソーム・エタノール酸化経路というのがあり、やはりアセトアルデヒドになる。
アルコール脱水素酵素を使った経路ではエネルギーが生産されるが、ミクロソーム・エタノール酸化経路ではエネルギーは発生しない。だから、アルコールは実際に表示されているよりもカロリーを産生しないと言われている。
よく「ビール腹」と言われる。英語でも「beer belly」という。
しかし、前述のように、ビールをはじめ、アルコールの摂取はカロリーそのものを反映した形では肥満にはならない。ただし、アルコールを飲んで太る体質の方はいるそうだ。