焼酎には芋焼酎、麦焼酎、そば焼酎、米焼酎などいろいろな原料が用いられている。しかし、どの焼酎であっても、最初に用いるのは全て米や大麦だ。これを麹原料と言う。

 麹原料に麹と酵母を加えて「一次仕込み」をする。サツマイモなどは「主原料」と呼ばれ、これは後から加え、「二次仕込み」を行なう。そして、10日ほど発酵させてから蒸留する。日本酒と同じ、糖化とアルコール製造を同時に行う「並行複醗酵」だ。

 麹菌は日本酒と異なり3種類ある。それぞれ黄麹菌、黒麹菌、白麹菌と呼ばれる。

 黄麹菌とは、本書で何度も取り上げているAspergillus oryzaeのことだ。日本酒(清酒)、味噌、醤油と同じだ。そうか、「もやしもん」のオリゼーもそういえば黄色だった(これはぼくもずっと気づいていませんでした。うかつでした)。黒麹菌はA. luchuensis、白麹菌はA. luchuensis mut. kawachiiが学名だ。酵母にはやはりSaccharomyces cerevisiaeを使う。

 焼酎は二日酔いしにくいとよくいう。手元にある「食品成分表2014」によると、焼酎は甲類(連続式蒸留しょうちゅう)も、乙類(単式蒸留しょうちゅう)も炭水化物はまったく入っていない。いわゆる糖質制限を行っている方でも焼酎は評判がよいようだ。そのせいで二日酔いしない、という説もある。

 対して、日本酒(清酒)は100g中3.6~4.9gの炭水化物が入っているから、糖質制限をされている方は日本酒がお嫌いな方が多いようだ(要確認)。ちなみに同じ食品成分表によると、ワインは白ワインが100gあたり2.0g、赤ワインが1.5g,ロゼが4.0gだった。ただ、ワインは甘口と辛口では全然糖分の量が違うから、一般化は出来ないと思う。

 なお、どこかの雑誌でシャンパーニュの紹介をしており、パドゼだから太りにくい、とう記載を見たことがある。パドゼ(pas dosé )とは「ドサージュなしの」という意味。アルコール発酵を促すためにシャンパーニュに糖分を加えるが(ドサージュ)、それをあえてしないものをいう。

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