個人的にも、今でも耳から離れないフレーズがある。

 99年から2012年まではデイリースポーツの演芸担当記者としてたかしさんを取材してきた。親子ほど年の離れた記者に対しても常に謙虚に、そして少しでもこちらが見出しを立てやすいような話をこれでもかと提供してくれる。いきなり携帯電話に連絡しても、対応は丁寧そのもの。そんなたかしさんがこちらの顔を見るたびにかけてきた言葉があった。

 たかしさんの師匠である横山やすしさんとじっ懇だったデイリーの古参記者の名前を出して「●●さん、元気にしてはりますか?」と毎回尋ねられた。自分の師匠が世話になった記者に対する気遣いと心配り。そして、師匠への思い。こちらは何をしたわけでもないのだが、この一言から何とも言えない深みと温かさをいつも感じていた。

 生前、たかしさんは「(やすしさんに)1万発はどつかれました」と話していたが、今、師匠と久々に会って、どんな言葉を交わしているのか。それが気になると同時に、もう携帯電話を鳴らしてもその答えが聞けない。その事実が、どこまでも切ない。

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