13年、英国のオックスフォード大学のBriggs氏らは、砂糖入りの清涼飲料水に20%の課税をすることで16歳以上の英国における肥満が18万人(1.3%)、太り過ぎが28万5,000人(0.9%)減ると報告しました。課税によって、砂糖入り飲料をよく飲む16-29歳の若年層に特に大きな効果が期待できるようだと言います。

 WHOも、肥満や2型糖尿病、虫歯を減らすために、それら製品への課税による値上げ、つまり「砂糖税」によって砂糖入りの清涼飲料水の摂取量を減らすことを奨励する報告書を2016年に出しています。

 「砂糖税」が導入されている国は、2018年末時点で世界22カ国に上ります。ノルウェーではなんと1922年から砂糖税を導入。フランスは2012年から、アイルランドや英国では2018年から導入され、アジアでもタイで2017年から、フィリピンでは2018年から導入されています。

 日本では、1901年よりぜいたく品である砂糖に対して砂糖消費税が課されていましたが、1989年の消費税導入に伴い廃止。しかしながら、近年砂糖の摂り過ぎに対する危機感の高まりとともに、課税が検討されはじめています。

 もちろん、肥満の原因は砂糖だけではありません。砂糖に税金を課すだけでは肥満問題の解決にはならないでしょう。けれども、清涼飲料水にたくさん使用されている砂糖や人工甘味料が身体に与える影響を知り、自身の食生活を見直すことは大切です。

じめじめと暑くなってきて、グイッと飲料水を飲みたくなる今日この頃。参考になりましたら幸いです。

○山本佳奈(やまもと・かな) 1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー、CLIMアドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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