カロリーゼロの飲料水とファストフードやサンドイッチといったカロリー高めな組み合わせで昼食を済ましがちな私には、自身の実感としてすごく納得できる結果です。

 また、George & Fay Yee Centre for Healthcare InnovationのAzad氏らは、人工甘味料に関する37の試験の結果を統合して分析した結果、アスパルテームやスクラロースなどの人工甘味料の摂取とBMI低下は関連しておらず、長期的な観察試験ではむしろBMIの上昇と関連していたことがわかったと報告しました。さらに、人工甘味料は肥満、高血圧、メタボリック症候群、2型糖尿病、心血管疾患の有害事象の発症率の上昇とも関連していたといいます。

 さらに、17年には米国のボストン大学のMatthewらが、45歳以上の脳卒中の患者2888名と、60歳以上の認知症の患者1484名を10年間追跡調査したところ、砂糖を使用した甘味飲料水は、脳卒中や認知症と関連がなかったものの、人工甘味料の入った炭酸飲料水の摂取量の増加は、脳卒中や認知症との関連があることを報告しています。人工甘味料を使用した炭酸飲料水を毎日飲む人は飲まない人に比べて、虚血性脳卒中やアルツハイマー病ともに約3倍も生じやすいという結果だったと言います。

 このように、人工甘味料は私たちの体には害をもたらす可能性があることが近年指摘されているのです。

 砂糖や人工甘味料といった甘みは、味覚を変える可能性があることも示唆されています。2011年、ウェールズのバンガー大学のSartor氏らは、正常体重の人に比べて肥満や太り過ぎの人は塩味や甘味に対する感受性が鈍く無意識のうちに甘味をより好むこと、そして清涼飲料水を飲み続けると正常体重の人も味覚が鈍り甘味を好むように変化しうることが示されたと報告したのです。
 
 肥満は全世界で問題になっています。世界保健機関(WHO)の報告によると、1975年以降、肥満率はほぼ3倍に増加しており、16年には、18歳以上の19億人を超える成人が過体重であり、このうち6億5000万人以上が肥満だったといいます。

 肥満の増加に伴い、心疾患や脳血管疾患、糖尿病や脂質異常症などの疾患も増加しています。肥満の原因である食生活を改善する効果的な戦略の一つが、「砂糖税」なのです。

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