すっかり筋肉の人になった武田真治 (c)朝日新聞社
すっかり筋肉の人になった武田真治 (c)朝日新聞社
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矢部万紀子(やべまきこ)1961年三重県生まれ、横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』
矢部万紀子(やべまきこ)1961年三重県生まれ、横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』

 アマゾンで縄跳びを買った。武田真治の著書『優雅な肉体が最高の復讐である。』を読了したからだ。

かつては「フェミ男」キャラで売り出していた武田真治

「特に僕と同世代で久しぶりに身体を動かすというかたに」おすすめで、「まずは100回、1回もミスしないで跳ぶことを目指してください」と書いてあったから、素直に従ってみたのだ。「同世代」と言い切るには、少々無理があるのだが、ま、許容していただきたく。

 アディダスの縄跳びがカッコいいのでは、と購入。プライム会員なので次の日に到着したが、思っていた以上に重たいものが来て、ちょっと心配。これでちゃんと跳べるだろうか。つまり、まだ始めていない。

 始めてもいないくせに縄跳びについて書いたのは、これが武田の流儀に反するのだ、と書くためだ。5月22日に放送された「ラン×スマ」(NHKBS1)にゲスト出演した武田は運動を始める極意をこう語っていた。

「まるでスーパーマンであることを隠すクラーク・ケントの気持ちで、こっそりと」

 武田のランニング哲学を紹介する中での言葉だった。ランニングを始めたその日に、会社で「今日、走ってきちゃってー」という人がいたとする。「わー、すごーい」と周りは褒めてくれるだろう。2日目以降、同じように報告する。周りはリアクションが面倒になる。その負担を考えてほしい。1日走っても、人の身体は変わらない。そう説明して、こう言い切った。

「フォルムは性能が伸びた時についてきます。そうなれば、人が勝手に褒めてくれます」

 字幕で「フォルム=ここでは“体型”」と出ていた。その少し前に、腹筋をつけるにはランニングが最適だが、走る時はそんなことは考えず一心不乱に、と語っている時に「フォルムは後からついてくる」と語っていたからで、この時のフォルムは「形」と補われていたから、NHKは武田お気に入りワード「フォルム」を厳密に定義することを使命と考えているようだった。子どもからお年寄りまで、みなさまのNHK。

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「僕、ナルシシストです」