さらなる成長を予感させる紀平梨花 (c)朝日新聞社
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「もう“シーズンオフに何をしようかな”という感じ」

 3月に埼玉で行われた世界選手権の一夜明け会見で、紀平梨花の視線は既にオフの過ごし方に向かっていた。世界選手権ではショートの出遅れが響き4位に終わった紀平だが、「本当にシーズン中からやりたいことがたくさんあって」と語るその表情にあったのは悔しさではなく、また自分を鍛え直せるオフへの期待だった。

「シーズン中、トレーニングとかダンスとか、もっとたくさんいろんなことをしたいなと思っていた。でもとりあえずシーズンが終わらないと、まだ考えてはいけないことばかりだったので、そういうことを新たにスタートできることにすごくワクワクしている」(紀平)

 昨季がシニアデビューシーズンだった16歳の紀平だが、グランプリファイナルや四大陸選手権を制し、世界のトップまで一気に駆け上がった。だが、その飛躍のシーズン中に紀平の心中にあったのは「まだまだ足りない」という思いだった。「もっとバレエを増やしたい」「毎日のトレーニングメニューを決めたい」と感じる反面、試合に向け「ペースを崩せない」という意識もあったという。「シーズンが終わったら、新たに考えるしかない」と我慢していた紀平は、今こそ待ち望んだオフを意欲的に過ごしているはずだ。

 フィギュアスケートのシーズンが始まると、選手達は次々とやってくる試合に向けた調整が必要になる。試合で結果を残すためにはプログラムを滑り込んで完成していかなければならないこともあり、一般的にはシーズンに入ってから新たな取り組みをすることは難しい。そのためシーズンオフはスケーターにとり、新しいトレーニングに挑戦することができる貴重な時期といえる。

 また、来シーズンのプログラムを作るにあたり、習得したジャンプの成功確率が上がっていれば、新たな要素として組み込むことができる。来季シニア女子で注目されるのは、ジュニアから上がってくる4回転ジャンプを持つロシアの天才少女達だ。また世界選手権では、エリザベート・トゥルシンバエワ(カザフスタン)がシニア女子として初の4回転ジャンプを成功させ、銀メダルを獲得している。世界選手権の一夜明け会見でも、宮原知子や坂本花織には現在取り組んでいるトリプルアクセルに関する質問があった。そんな流れの中、既にトリプルアクセルを武器にしている紀平が4回転を意識するのは自然なことともいえる。

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紀平が望む“意味のあるトレーニング”