昨年末に鳴り物入りで移籍してきたビジャは新天地への適応に苦しんでいる。ここまでJ1・8試合出場4ゴールと神戸の助っ人では最も得点を奪っているものの、J1得点ランクトップに立つディエゴ・オリヴェイラ(FC東京)やアンデルソン・ロペス(札幌)が7ゴールを挙げているのと比較すると物足りない。37歳という年齢もあるのか、ケガがちなのも気がかりな点だ。2010年南アフリカワールドカップ優勝時のイメージが強い者にとっては、やはり微妙な違和感を覚えざるを得ない。

 彼らVIPトリオのみならず、今季途中に加わったセルジ・サンペールもコンディションが芳しくない。バルセロナ・カンテラ育ちのボランチということで、イニエスタやビジャを後方支援し、彼らに足りない運動量や機動力をもたらしてくれるかと思いきや、ケガの影響や試合勘の不足などが災いして効果的なプレーがまだまだ少ない。リージョ監督辞任の引き金になったと言われる4月6日の松本山雅戦の時には「サンペールがあまりよくないから、そこが狙い目になると思う」と関係者も語っていたほど、他チームからは弱点と目されているようだ。

 サンペールが入ったことで、絶対的守護神だったキム・スンギュを外国人枠の関係からベンチ外にしなければならなかったことも、守備が崩れた一因と見られていた。吉田監督になってからはVIPトリオが揃わないことも多く、キム・スンギュを外さないで済んでいるが、今後はどうなるのか分からない。豪華すぎる外国人選手を多数抱える難しさに、彼らは今、直面しているのだ。

 神戸が大物外国人選手獲得に踏み切ってうまくいかなかったのは、今に限ったことではない。振り返ってみれば、ジャパンフットボールリーグ(2部相当)に所属していた1996年、鳴り物入りでやってきた元デンマーク代表のミカエル・ラウドルップがJ昇格に貢献しながら、翌97年春に早々とチームを去るという出来事があった。ユベントスやバルセロナ、レアル・マドリードなどで活躍してきたビッグネームにとって、当時のJや神戸のレベルは低すぎた。同時期にジュビロ磐田でプレーしたドゥンガ、鹿島アントラーズで戦ったレオナルドやジョルジーニョらはスムーズに適応した分、日本で短命に終わったラウドルップはマイナスイメージが大きかった。

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神戸の大物助っ人、失敗例その2