言葉を止めたその瞬間に、元号は平成から令和へと移り変わった。改元の瞬間にちょうど終わるように1分間のスピーチを行うという圧巻の技を見せたのだ。
これぞテレビの企画、と思った。池上がきっちり1分間でスピーチを終えられるのか、という興味だけでカウントダウンの1分間をつなぐ。それが達成された瞬間、視聴者の心には「無事にできた」という感動が、元号が切り替わったという感覚と同時に訪れる。その結果、この番組を見ていた人は、元号の変わる瞬間を必要以上にドラマチックに楽しむことができた。そもそもどうやって盛り上がればいいのか分からない改元の瞬間を盛り上げるための方法として、これ以上のものは他局では見られなかった。
もちろん、これが企画として成立するのは、池上彰という人間が圧倒的に有能であり、オリジナルであり、これまでに視聴者からの信頼を勝ち得ているからだ。令和時代もしばらくは「池上無双」が続きそうだ。(ラリー遠田)