
DIE HARD──「なかなか死なない」「簡単にはくたばらない」といった意味のこの英語が日本でも広く知られるようになったのは、ブルース・ウィリス主演のアメリカ映画『ダイ・ハード』がきっかけだったと思う。
元号が間もなく「令和」に変わろうという今、「平成」がスタートしたばかりの頃に日本で封切られた洋画のタイトルが脳裏をよぎったのは、今年のヤクルトがこの「DIE HARD」を地で行くような戦いを見せているからだ。
本拠地・神宮球場での今季初戦となった4月2日のDeNA戦では、8回表に一度は逆転を許しながら、その裏に再逆転して勝利。続く3日の同カードは8回に3点差を追いつき、9回にサヨナラ勝ち。5日に同じく神宮球場で行われた中日戦も、シーソーゲームの末に8回に1点のビハインドをひっくり返してみせた。
極めつきは6日に行われた中日との2回戦。抑えの石山泰稚が9回に同点に追いつかれ、延長戦に入っては防戦一方になりながらも再三のピンチを耐え忍ぶと、12回裏に大きなドラマが待っていた。
引き分けまであとアウトカウント1つとなったところで満を持して代打に起用されたのは、この日は休養のためにスタメンから外れていた青木宣親。37歳のチームリーダーがカウント1-1からの3球目にバットを振ると、打球はレフトスタンドに飛び込み、劇的なサヨナラホームランとなった。
「(打席に入る前に)ベンチの後ろで『一振りで決める』って言ってたんですよ。それをホントにやるっていうのが並じゃないですよね。あそこで打てるのはさすがです」
スタッフの1人が明かした「予告サヨナラ本塁打」で締めくくられた幕切れは、さながらハリウッドの大作映画のようですらあった。
だが、それもこれもヤクルトナインが「執念を持って、最後まであきらめない姿勢」で戦っているからにほかならない。そもそも、これは小川淳司監督が4年ぶりに復帰した昨シーズンから常に言い続けていることだ。