さて、そんなアルコールと健康に関する興味深い研究結果が、先月の28日に発表されました。英国サウサンプトン大学病院のHydes氏らの調査結果によると、なんとワインを毎週1本(750ml)飲むことは、女性ならタバコを週に10本、男性ならタバコを週に5本吸うのと同じ程度の癌の発現率の上昇を招くと推定されるというのです。

 昨年9月には、1990年から2016年までの195の国と地域におけるアルコールの消費量や死亡との関連性を調べた調査結果がランセットに掲載されました。なんと、16年の世界の男性の死亡の2.2%、女性の死亡の6.8%が飲酒に起因することがわかったのです。健康に良い酒量などはなく、健康を害さないようにするにはアルコール摂取量を0gにする、つまり飲まないことが必要だと筆者らは言います。

 アルコール摂取と認知症のリスクについても気になるところですよね。昨年8月、フランスのパリサクレ大学のSabia氏らによる23年間にわたる観察研究の結果が、BMJ に掲載されました。一週間あたりのアルコール推奨量を14単位(アルコール1単位は純アルコール20g)までとしている英国において、なんと、その推奨量を超えて飲酒している中年や飲酒していない中年は、推奨量内(1-14単位/週)で飲酒している中年に比べて認知症になりやすいことがわかったのです。

 昨年3月には、フランスにおける早期発症の認知症(65歳未満に発症した認知症)とアルコールとの関連の調査結果も、ランセットに掲載されました。08年から13年の間にフランスの病院に入院していた31,624, 156人を分析した結果、アルコール依存や乱用は、男女ともに3倍を超える認知症リスクの上昇と関連していたことがわかったと言います。さらに、65歳未満で認知症を発症した患者さんの57%は、アルコール依存や乱用があったこともわかったのです。

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長時間労働が多量飲酒につながる