新しいモノ、好きなモノを手に入れたときの高揚感とそれを使う楽しさ。そこから生まれる活力があるというのだ。

 そして、昨今の流行りに乗って大掃除を機にモノを減らしてみたというのは「獣道の入り口が見つかった」程度だとやましたさんは言う。モノとの関係性を問い直しながら日々の断捨離を続け、週ごと、月ごと、季節ごと、年ごとの断捨離を経て、半年~1年以上かけて“ダンシャリアン”になるのだ。

 一度で済むものではないからこそ、その過程でリバウンドしても「また散らかった」、「また買い込んでしまった」と減点法で考えてはいけないとやましたさんは繰り返す。

「程度は人によって違いますが、以前に比べるとモノの堆積が減って、こう着度は小さくなっているはず。それよりも、無謀な目標設定をして、引き算で評価する癖こそが考えものです。正しい方法で続けてみてください」

 ただし、家族と暮らしている場合は要注意! 最もやってはいけないのは、家族への指示・命令・要求だという。特に自分のモノを勝手に捨てられると、存在を否定されていると感じ、思わぬ亀裂を生んでしまうからだ。

「夫婦は限られた空間で違う人間と高い密度で暮らしているので、モノを介して主導権争いをしていることが多々あります」とやましたさん。相談者の中には、断捨離を経て仲が良くなった夫婦がいる一方で、自分の軸を見つめ続けた結果、パートナーを“断捨離”した人までいるという。

「人のモノが自分にとって邪魔に感じるのは当然。特に共働きで子育てをしているなら、家の中は混乱するに決まっています。だから量を減らして今の自分たちに最適化することで、時間と心にゆとりが生まれる。空間の余裕は、心の余裕につながります」

 新生活が始まる春。リバウンドを恐れず進め!(AERA dot.編集部・金城珠代)

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