やました・ひでこ/一般財団法人 断捨離(R)代表。『断捨離したいナンバーワン、それは夫です』『定年後の断捨離~モノを減らして、愉快に生きる』など著書多数。(撮影/写真部・小原雄輝)
やました・ひでこ/一般財団法人 断捨離(R)代表。『断捨離したいナンバーワン、それは夫です』『定年後の断捨離~モノを減らして、愉快に生きる』など著書多数。(撮影/写真部・小原雄輝)
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片付けても片付けても無駄……」

【画像】「ゴミ箱は持たない」断捨離の達人・やましたひでこが教える収納テク

 夫と息子と娘、犬1匹と暮らすアラフォー主婦のAさんは、頭を抱えた。収納本、捨て方や風水を使った片付け本、100円均一グッズで室内をDIYする方法など流行りのハウツー本を読みあさり、その通りにやっても3日もすれば元通り。自分には片付けのDNAが欠けているとさえ思えてくる。

 バリバリのキャリアウーマンだったが結婚後に専業主婦になり子ども中心の生活に。2人目が生まれて、3LDKのマンションから一戸建てに引っ越しても悩みは解決しなかった。それどころか「片付けられない女」という罪悪感だけが積み重なり、イライラが押し寄せる。

 世間はいま、ミニマリストブーム真っただ中。「今年こそ、モノを減らしてスッキリと暮らしたい!」と、昨年末の大掃除で決意した人は少なくないだろう。あれから早2カ月。リビングはいつものように散らかり、スッキリ片付けたはずの食器棚やクローゼットもぐちゃぐちゃ状態に逆戻り。せっかく意を決して捨てたのに新しく買い足してしまったものまで……。そんなリバウンドに落ち込む「迷子」も相当数出てきている時期だ。

 その1人である記者が、断捨離の提唱者・やましたひでこさんに相談してみたら意外な答えが返ってきた。

「リバウンドは自然なことですよ。春物の服を買いたい? ぜひ新しいモノを取り入れてください。電車に乗っていると景色が変わっていくように、あなたも変わり続けているんですから。一生モノなんてありません。ときに加え、減らし、変化が必要なんですよ」

 え? モノは少ないほうがいい、買わない増やさないというのが定説では……。

「断捨離の本質が誤解されているんです。海外からミニマリストという考え方が入ってきてからは特にその傾向が強くなっていますね。『断捨離=ただ捨てること』でもないし、清貧の教えでもない。本来は堆積したモノを剥がし、自分の居場所を最適化することで、自分の軸を取り戻していくという日々の営みのことなんです。人間には食欲や性欲と同じように物欲があって当たり前で、ミニマリストのように『最小限』にしていく考え方は人間の本能に蓋をして抑圧している状態。それがファッション感覚で流行るのは実は憂うべき事態だと思います」

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一度の断捨離は「獣道の入り口が見つかった程度」