■山口の“狂気”が光る上質なホラー作品
20代後半でブレイクしても「遅咲き」と言われがちな芸能界において、「芸歴24年、38歳で初主演を飾った女優」として遅咲き界の記録を更新したレジェンド女優、それが山口紗弥加(39)だ。
1994年、14歳のときに「若者のすべて」(フジテレビ系)で女優デビュー。その後、数々のドラマや映画で名バイプレイヤーとして活躍し続けてきたが、2018年に女優歴24年目にして深夜ドラマ「ブラックスキャンダル」(日本テレビ系)に主演として大抜擢。豊かな経験値に裏付けられた確かな演技力は好評を博し、現在は主演第2作目「絶対正義」(フジテレビ系)で堂に入った主演女優ぶりを見せつけている。
長らく名バイプレイヤーと言われ続けてきた古株女優が突然“主演女優”として脚光を浴びることに成功したのか? テレビ局のドラマプロデューサーは次のように分析する。
「やはり圧倒的な経験値と豊富な現場力の賜物でしょうね。今まで、3~4番手ぐらいの脇役から一話だけピンポイント登板の役まで、決してより好みすることなく芝居を続けてきた彼女だからこそ、どんな現場であっても対応できる柔軟性が誰よりも身についているんだと思います。そのため、主役をやるときでも、芝居相手の演技をしっかり引き出し、ちゃんと回すことができる。現在オンエア中の『絶対正義』では正義を信じるが、あまりどんどん人を貶めていくモンスター専業主婦役を演じてますが、決して肩に力が入りまくった怪演ではなく、ある意味“狂言回し”のような存在として君臨しています。昼ドラで一時代を築いた東海テレビ制作ゆえのトリッキーな役柄なため、経験値の低い女優がこれをやるとトンデモドラマに陥りそうなところを、彼女の芝居が上質のホラー作品として成立させている。ほんとに、凄い女優さんだと思いますね」
まさに今、脂がのりまくった女優といっても過言ではないほどの快進撃ぶりだが、そんな彼女もここに至るまで決して順風満帆な女優人生ではなかったとか。テレビ情報誌のライターは次のように語る。
「デビュー当時は『笑っていいとも!』など数多くのバラエティー番組に出たり、歌手活動をするなどアイドル女優として扱われており、そこで女優としての道に悩んだそうです。22~23歳のときはその悩みのピークで、週に一回、原因不明の40度の高熱に悩まされ続けたとか。それで、『もうこの仕事をやめよう』と決意し、最後の仕事として臨んだのが野田秀樹さん作・演出の『オイル』。この舞台で演じることの楽しさに目覚め、辞めたくない、なんとかしがみつきたいと思ったと『ボクらの時代』(フジテレビ系)出演時に当時の知られざる挫折を明かしています。彼女が役の大小にこだわらず、女優道を歩き続けてこられたのは、恵まれ過ぎた若手女優時代の大きな挫折があったからなんでしょうね」