過去、山口にインタビューした経験があるというTVウォッチャーの中村裕一氏は、彼女の魅力を次のように解説する。
「そのエキセントリックな役柄や鬼気迫る演技とは正反対に、さりげなく周囲に気を配り、落ち着いた表情で静かに語る姿はいたって真面目で、とてもナチュラルな女性であるという印象を受けました。仕事は仕事として、与えられた役を全力を尽くして演じ切る一方で、プライベートではそれとは真逆の穏やかなライフスタイルを送っているのではないでしょうか。そのギャップがあるからこそ、あの鬼気迫る演技ができるのだと思います」
古株とはいえ、まだ39歳。彼女は女優として今後どのようなポジションを築いていくのだろうか。中村氏は続ける。
「放送スタート前に行われた『絶対正義』の制作発表でも、片瀬那奈(37)や美村理江(34)ら共演陣を立て、『主役が続いたことは奇跡』『全員が主役』であるとしきりに語っていました。主役の座につくだけでも大変な連続ドラマ界で、主演が2本続いても、そう言ってのける腰の低さは、ちょっと人気がでただけですぐに勘違いし、増長してしまうような若い俳優に見習ってもらいたいほど。彼女のターニングポイントとして、野田さんの舞台『オイル』がきっかけとなり、鬼演出家としても知られる故・蜷川幸雄さんの舞台に声をかけられますが、そこで蜷川さん特有の罵詈雑言を浴びせられたことで、逆に精神的には鍛えられたそうです。研究熱心で常に努力を怠らない真摯な姿勢は、根っからの女優気質なのだと思います。十分なキャリアで培ったテクニックに加え、女優という仕事に対して決して奢らないという謙虚な姿勢。今後の女優としての人生も安泰だと言えますね」
遅咲き女優だからこその安定感と謙虚さをしっかり兼ね備えていた山口紗弥加。彼女の主演作は今後も量産されていくに違いない。(ライター・藤原三星)