労災ユニオン事務局の佐藤学氏は、こう話す。
「高齢者になれば身体能力が衰えるため、事故が起きた時に重傷化しやすい。政府は『1億総活躍』を掲げて高齢者の就労を推進していますが、高齢者の体力に合わせた安全対策強化や就労環境の改善は進んでいません。高齢者の就労を増やすのなら、現役世代を基準にした働かせ方を根本から変えなければなりません」
淳子さんによると、会社で働く同僚は全員が高齢者だった。募集をかけても若い人は応募してこないことが多いのだという。淳子さんは、自らが被害者となった労災事故の詳細を明かした理由について、こう話した。
「懸命に働く高齢の労働者に、私と同じような思いは決してしてほしくないんです」
(AERA dot.編集部/西岡千史)