日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「花粉症」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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春霞がかかる穏やかな日が増え、春が近づいてきたなと感じる今日この頃。花粉症の私は、鼻がすでにむずむずし始めています。外来診療をしていても、鼻水がでてきた、目がしょぼしょぼし始めた、と花粉症の薬を希望する方の受診が急に増えたように感じます。
北陸地方で春一番が吹き、全国的に最高気温が3月並みから4月並みのところが多くなった2月4日、中国や四国、東海地方の一部でスギ花粉の飛散開始が確認され、今年の花粉シーズン開始となりました。さらに、1週間後の2月11日には、大田区でもスギ花粉の飛散を確認。東京でも花粉シーズンが始まりました。ちなみに、昨年より3日早い、過去10年の平均より5日も早い飛散開始となりました。
今日は、本格的なシーズンを迎える花粉症について、興味深い研究結果も合わせてご説明したいと思います。
■花粉を体内に入れないように守っている
そもそも、花粉症とは、スギやヒノキ、ブタクサやカモガヤといった植物の花粉が原因となってアレルギー症状を引き起こす疾患です。花粉をできる限り体の外に出そうとした結果、くしゃみや鼻水や鼻づまり、目のかゆみや涙や充血といった症状が現れます。目や鼻から入ってきた花粉を、私たちの体が異物であると認識し排除することを選択した結果、再び花粉が入ってきた時に、鼻水や涙で洗い流す、くしゃみで吹き飛ばす、鼻詰まりを起こすことによって、花粉を体内に入れないように守っているのです。
鼻や目の症状だけでなく、のどや皮膚のかゆみ、下痢や熱っぽさなどの症状が現れることもあります。また、シラカンバ花粉症などでは花粉によって皮膚が荒れたり、咳や喘息を生じたり、リンゴなどバラ科の果物を食べることで口の中がかゆくなったり腫れたりすることもあります。