西武・森脇亮介 (c)朝日新聞社
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 8点リードの八回。勝敗の行方も決まった2月下旬の練習試合で、主力勢は大半がベンチに退いている。ちょっぴり間延びした試合展開の中で、ネット裏のスコアラー陣が「新戦力」の台頭の予感に目を光らせた瞬間だった。

「こういう投手が出てくるから、西武はいいんですよね」

 ソフトバンク・竹口昭範スコアラーが“要注意マーク”をつけたのは、その大量リードの八回に登板した1人のピッチャーだった。

 ドラフト6位ルーキー・森脇亮介。

 身長175cm、体重70kg。そのスリムな体型はプロの世界の中では、なんともか細く映る。社会人のセガサミー出身。すでに2児の父でもある26歳。まさしく「オールドルーキー」とも言えるその右腕から投じられるボールは常に低めに制球され、コーナーにきっちりと投げ分けられていく。

 2月21日、高知・春野で行われた台湾・統一との練習試合。相手のデータもほとんどない中で、森脇は持ち味を存分に出して、三者凡退に打ち取った。

 1人目、カウント1-2から、127キロのフォークでセカンドゴロ。

 2人目、カウント1-2から、131キロのフォークでサードゴロ。

 3人目、カウント1-2から、144キロのストレートでサードゴロ。

 全14球のうち、ボールは3球だけ。安定感あふれる投球術に「球にキレがある。ホントにいいピッチャーですね」と竹口スコアラーが、ただただうなった。

 ここに、西武の「強さの秘密」がある。

 西武は昨季、シーズン88、ポストシーズン1の計89勝のうち、逆転勝利がほぼ半数の42。もちろん、リーグトップの数字を誇っている。チーム打率.273は12球団トップ。その破壊力とは対照的に、同防御率4.24はパ最下位。投手陣の弱さを補ってあまりある強力打線が引っ張っての、10年ぶりのリーグ優勝だった。

 この「打高投低」ゆえに、森脇のような存在が必要になってくるというのが、竹口スコアラーの“分析”だった。

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計算された役割とは