白血病というと、世間では「不治の病」といったイメージの話ばかり出てくるが、一部を除いて化学療法(抗がん剤)の効果が極めて高い腫瘍である(「がんと闘うな」の先生もこれだけは例外と認めている)。

不治の病ではない

 抗がん剤には正常な骨髄の機能も抑制するという大きな副作用もあるが、骨髄移植(あるいは臍帯血幹細胞移植)により、骨髄機能を維持し、最大の脅威である日和見感染を防ぎながら、耐性を生じないような適切な薬剤投与を行うことで、多くの方が寛解を得ることができる。もちろん、これには高度の設備と経験のある血液内科医による診療が不可欠である。

 筆者が米国に留学していた1980年代後半、世界三大テノールのひとりホセ・カレーラスは急性骨髄性白血病に罹患し一時期活動を休んだが、骨髄移植と化学療法を受け、すっかり元気になって活躍している。

 読者の方やご家族、知人で万が一、白血病と診断された方は、強い気持ちを持って、迷わず標準治療を行う専門医の扉を叩いていただきたい。そう、「今では治り得る病気」なのだから。

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