ある投手は「同じ故障でも肘の方がまだマシです。肩が厄介なのはケガをすると、腕を振ることへの恐怖心がなかなか消えない。今まで投げていたフォームを取り戻すのに時間がかかった」と嘆いたことがあった。故障が再発すると実戦復帰もままならなくなる。
岩隈同様にメジャーから日本球界に復帰し、右肩の故障で苦しんだのが中日・松坂大輔だ。14年オフに3年12億円の大型契約をソフトバンクと結んだが、在籍3年間で実戦登板はわずか1試合。15年にオープン戦終了後に右肩の筋肉の疲労で戦線離脱すると、同年8月に内視鏡下による右肩関節唇及び腱板クリーニング手術を受けた。17年も4月に右肩の異変を感じて1軍の先発登板を急遽回避。3年間の大半をリハビリに費やし、本来の力を発揮できなかった。
巨人も当然、岩隈の現状を把握した上で獲得に踏み切っている。その期待に応える思いからオーバーワークになるのが最も危険だ。右肩の故障が再発した場合は長期離脱の危険性がある。「まともに投げられず第2の松坂になるのでは」と不安視する声はある。5年ぶりのリーグ優勝のキーマンになれるかは、コンディショニングがカギを握りそうだ。(今中洋介)