新年あけましておめでとうございます。ついに2019年。ボツイチになって5年目の年に突入する。トウチャンを亡くしてから私は一時期最高で7キロ痩せたが、その後4キロリバウンドし、その後増えたり減ったりを繰り返しながら今の体型を維持(?)している。年明けに出かけた台北では中華の美食三昧だったが、正月太りもなんとかクリアした。
考えてみればトウチャンと知り合った31歳のときから一緒にすごした19年で、私の体重は20キロ増量したのだ。1年に1キロずつ増えていった計算だが、実際のところは最初の3年ほどで15キロ増量し、あとは右肩上がりの成長。最初の頃こそ「ガリガリのギスギス女なんてわしは嫌いじゃ。ぽっちゃりが一番ええ。はい、これもお食べ」と目を細めて夜中にサッポロ一番塩ラーメンを3玉入れた特大ラーメンを作ってくれたりしていたトウチャンだが、あるとき、私が風呂上りにパンツ一丁で部屋を歩いているのを見て、「さすがにおまえ、これ以上太るのはまずいぞ」「容姿の問題じゃない。生命の危機だ」と言い出したが、それでも料理の好きだった彼は、私が家に帰ると好物ばかりを集めた大量のおかずを用意して待っていてくれたものだ。その爆裂ご馳走責めは彼が亡くなる直前まで続いた。
「わしは、お前が旨そうな顔して食べてくれるのが無上の喜びなんや」と笑顔でタバコをくゆらすトウチャン。彼は刑務所時代の話をするのは好きじゃなかったが、夕食時に、ポツリポツリと話してくれるエピソードに聞き入った。トウチャンのいた刑務所では誕生月にお饅頭などの甘いものが出たらしい。「『10月のお誕生日のひと』ということで別室に集められて特別に貰えるんだよ。あっちでは甘いもんが本当にご馳走でよぉ」そのなごりなのか、お饅頭や大福、クッキーなどに目がなかった。「出所が近付くと、外に出る練習をするんだよ。俺は最後、豚の世話係だったんだぜ。だから今でも豚足が食えないんだよな」と顔をしかめながら、「しっかし、まさか、シャバに出てからも豚の世話するハメになると思わなかったぜ!わっはっは」。ご飯を豪快に盛り付けてくれながら爆笑するトウチャンに怒る気も失せて一緒に腹を抱えた。
そんな日々だから、トウチャンの生きている間にはダイエットなんか全然できるわけもなく、ただ、新しいダイエット法の本が出れば必ず買いあさり、知識だけは、ダイエット界のハーバードに行けるくらい、いや、ダイエットのMBAがあるなら取得できるくらいに溜まっていた。ただ実践しないだけ……。