加えて、情報の質も今と昔では大きく違った。特にシーズン前に新聞各社が発行する選手名鑑には、選手の家族の名前や乗っている車だけでなく、ファンレターの送り先ということで自宅の住所まで載っていた。05年に個人情報保護法が施行されて以降は、多くの情報が非公開となってきたが、昭和の時代はインターネットも携帯電話もなく、情報の伝達方法も人間臭いものだった。
もちろんテレビ中継は巨人戦のみ。その他の試合の結果はフリップに書かれたスコアのみ。ファンといえども選手がどんな顔なのかも知らず、選手たちも試合が終われば一般人に混じって電車で帰宅、パチンコ屋に並ぶなんて選手も多くいた。金遣いも豪快で、ポケットに札束を埋め込み、酒の飲み方も半端ないもの。次の日、二日酔いで球場に現れ、ピシャリと抑えて再び夜の街へ、という選手もいた。
平成も終わりを告げる今、そんな昭和の時代は遠い昔のものとなった。だが時折、今でも“昭和感”のある選手が登場し、オールドファンからの人気を集める。アスリートタイプの選手が増えてきた中、野武士タイプの選手の出現、活躍にも期待したい。