2018年もさまざまな出来事があったプロ野球。華々しいニュースの陰でクスッと笑えるニュースもたくさんあった。「プロ野球B級ニュース事件簿」シリーズ(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏に2018年シーズンの“B級ニュース”を振り返ってもらった。今回は「珍プレー大賞編」である。※肩書きは当時。
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1年前に演じた高価な失策を挽回する“珍プレー返し”で味方のピンチを救ったのが、巨人・長野久義。
4月22日の阪神戦(甲子園)、1点をリードされた2回1死、梅野隆太郎の大飛球がセンター・長野の頭上を襲った。
背走した長野は、フェンス手前で必死にグラブを伸ばして捕球態勢に入る。ところが、なんと打球はグラブの土手に当たった直後、長野の顔面にゴツーン!
思わず「おお、痛てて!」と聞こえてきそうなアクシデントだったが、長野はお手玉しながらも膝でリフティングして間一髪キャッチ。文字どおり、体を張ったプレーでアウトに仕留めた。
もし落球していれば、長打は確実だっただけに、「やれやれ、助かった」とばかりに苦笑い。ハラハラしながら見守っていた巨人ファンも「去年の二の舞にならなくて良かった」と安堵したはずだ。
実は、長野はライトを守っていた前年4月11日の広島戦(東京ドーム)でも、2点リードの6回2死二、三塁のピンチに、小窪哲也の大飛球の捕球態勢に入った直後、バランスを崩し、ドスーンと尻もちをついて落球。一挙同点に追いつかれていただけに、今回は“曲芸プレー”で見事雪辱をはたした形に。
このプレーがきっかけで流れを引き寄せた巨人は、4回に岡本和真の勝ち越しタイムリーなど5長短打で4対1と逆転。長野自身も7回に9点目となる左前タイムリーを記録と攻守にわたって見せ場をつくった。もっとも、本人は「(守備については)コメントしない」と2年連続の珍プレーにきまりが悪そうだった。
一方、阪神は5回に糸井嘉男、福留孝介が落下点に入りながら、グラブにボールを当てて落球するなど、長野とは対照的にピリッとせず。
2回の長野のプレーに「まさか!」と、唖然とした表情を見せた金本知憲監督も「選手が悔しい気持ちを持っているか、そこが一番の問題。淡々と終わっているようじゃ使えません。要らないし、そういう選手は」と怒り心頭だった。