カナダでは大麻栽培の様子を眺められる見学施設も(c)朝日新聞社
カナダでは大麻栽培の様子を眺められる見学施設も(c)朝日新聞社
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 カナダは10月に、主要先進国で初めて、個人で楽しむために使うマリファナ(大麻)を合法化した。また、12月17日には、米ニューヨーク州のクオモ知事が、所信表明演説で娯楽用マリファナの合法化に向けて意欲を示した。世界で動きを見せる中、日本はどうあるべきなのか。日本麻協議会事務局代表の若園和朗氏が、カナダのマリファナ危機を受けて「日本への悪影響を防ぐため、なお一層の警戒感を」と見解を示す。

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 私たちは、日本の麻(大麻)の伝統を次世代に引き継ぎ、再興を図るための活動をしていいます。そんな私たちに対する評判の悪化に繋がりかねない大変悪いニュースが流れてきました。それは、カナダのマリファナ(大麻)危機の報道です。

 違法薬物の蔓延に手を焼くカナダ政府は、2018年10月17日、嗜好目的でのマリファナ(大麻)使用を合法化するという選択に踏み切ったことは皆さんご存知のことと思います。カナダでは、国民のマリファナなどの経験率が4割を超え、法によって取り締まれる状況ではなくなっていました。無法で無秩序な状態から、法による管理下に置き、秩序を取り戻すことで、未成年者の使用を防ぐなど健康被害の軽減を図り、犯罪組織に流れていた資金を断ち、税収を増やすことが目的と思われます。

 わが国は、カナダのみならず他先進国からも「奇跡」といわれるほど薬物乱用の少ない国。日本の麻(大麻)の再興を求める私たちには、わが国がカナダのような残念な状況に陥らないよう、有害大麻の脅威をよく理解し対応していく責任があると私は考えています。「マリファナは安全だから合法化された」というような誤った解釈が横行しないよう、十分配慮しなければならないのは言うまでもないことです。

■日本の大麻はマリファナにはならない品種

 一方で10月末、私たちを勇気づける知らせも届きました。それは、新規に大麻栽培免許を取得した「伊勢麻振興協会」が栽培している大麻は、マリファナにならない安全な品種であると成分分析などにより三重県が確認したという知らせです。

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かつて日本人は平気で乱用していた?