「M-1グランプリ2018」はコンビ結成6年目の「霜降り明星」が優勝した。ボケのせいやが26歳、ツッコミの粗品が25歳。「M-1」史上最年少の王者となった。
仕事柄「次にブレークしそうな若手は誰?」というような話を放送局の人や演芸担当記者らとするが、昨年からはそういう文脈で「霜降り明星」の名前を出すことはナンセンスという空気になっていた。
というのは「『霜降り明星』が売れるのは、誰もがわかっている話」という共通認識があるためだ。「プロ野球選手で将来有望な選手は?」という話の中で、今さら大谷翔平の名前を出すくらいの的外れ感が出てしまうくらい“腕”と“華”が突出していた。
もともと、ツッコミの粗品は10代の頃からピン芸人として活動していて、センスあふれるボケで関西の賞レースで注目もされていた。2013年、その粗品がツッコミにまわって、コンビを組むとなり「あの粗品がツッコミにまわってまでコンビを組むなんて。相方はいったいどれだけ才能あふれるヤツなんだ!?」と先輩芸人たちがざわつく中、出てきたのがせいやだった。
そして、コンビとしての2人を見た時に、多くの芸人仲間が「粗品が組みたいと思ったのもよくわかる」と納得していた。ネタ、トーク、モノマネと何でもできて、どれもハイレベル。かわいげもある。この2人が組んだんだから「あとは、売れるだけ」という言葉を各所から聞いてきた。
もちろん2人の圧倒的なポテンシャルと努力があっての戴冠に他ならないが、それを支えたのは、彼らが主戦場としている「よしもと漫才劇場」(大阪・難波、2014年オープン)のシステムだと指摘する向きもある。
ここには今回敗者復活枠で決勝に上がってきた兄弟漫才コンビ「ミキ」や、今や売れっ子としてメディアからも引っ張りだこのタレント・ゆりやんレトリィバァら多くの人気者が所属し、しのぎを削っている。これまで、若手中心の劇場が吉本興業にも数多くあったが、これまでの劇場と一線を画しているのがネタ時間だ。