「そういうことじゃなくて、妻も幸せな気持ちでいて……、ということです」
そこでまた私は突っ込みます。
「ということは、順子さんの気持ちをどうにかコントロールしたい、ってことですか?」
忠則さんは、なんて常識が通用しないカウンセラーなんだというような困惑をされながらも
「コントロールってことじゃなくて、妻の気持ちが楽になれば、つんけんすることもなくなりますし、そうすれば、私がイラっとすることもなくなり、円満になるってことです」
とおっしゃいます。
「夫婦と言っても、違う人なのだから、一緒にいれば、相手の言動にムッとすること、怒りを感じることもありますよね。そういう時、順子さんはどういたらいいですか?」
とお聞きすると、
「我慢するのはお互い様なのに、(妻は)それができないからもめるんで、どうしたら我慢ができるのか(妻に)教えてほしいんです」
とおっしゃいます。
結局のところ、忠則さんは、ご自身の意識とは裏腹に、実のところ妻が我慢すれば問題は解決すると思ってらっしゃる部分があると考えられます。これとは男女が逆のパターンや、双方が相手我慢すれば問題は解決する、というパターンもあります。
いずれにしても、相手方からすれば、我慢を強要されるわけで、我慢させられながらその人と一緒に幸せでいる、というのは、私は難しいと思います。ただ、我慢すれば問題は表面化しませんから、円満ではいられるのです。
前出の明治安田生命の調査では、約8割の妻が夫に不満があるとも示しています。2016年の調査では、「夫婦を漢字一文字であらわすと?」という質問があり、一位が「忍」でした。年代別にみると20代が「愛」、30代が「耐」、そして40代以上はすべて「忍」です。また、結婚年数別でみても10年以上はすべて一位が「忍」です。
我慢しているので、円満ではあるけど、必ずしも幸せではない、ということでしょうか。夫婦関係でうまくいってないことの最終的なしわ寄せは、性のことに現れやすいので、婚外交渉かセックスレスに陥っていく、というケースが多いように思います。